次々回: 1993年 12月 16日 (木) 東工大 (予定)
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差出人(幹事):
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東京大学教育用計算機センター 岩崎英哉
03-3812-2111 ext. 3020
iwasaki@rds.ecc.u-tokyo.ac.jp
並行計算モデルの一つであるプロセス代数 (CSP,CCS,pi-calculus)に関す る一般的な概説を行った後、時間的特性を拡張したプロセス代数体系である RtCCSとDtCCSを提案し、さらにプロセスの等価関係をもとにした解析・検証技 法について紹介した。
プロセス代数は、プロセスの並行実行や通信に関して優れた表現性を持っ ているが、時間的概念がなく実行時間や通信のタイミングを含むシステムの正 当性や効率の解析には十分ではなかった。そこで、CCS に全域的な時間経過を 表すアクションと、タイムアウト処理に準じた演算子を導入することにより、 並行・通信システムの動作内容と時間的特性を同時に表現・解析できる形式系 を構築する。また、それの検証技法としてプロセスの実行タイミングを考慮し たプロセスの等価関係を与えた。
一方 DtCCSは、分散システムにおける全域的な時間基準の非存在を考慮 し、RtCCS に局所的時間(時計)の相違や誤差の表現性を導入したもので ある。これにより、全域的時間に従う並行システム以外に不正確な時計 に従う分散プロセスが取り扱えるようになる。
発表では、提案した形式系それ自体と、実際のシステムの親和性に関し て数多くの有意義な質問・助言があり講演者自身にとっても得ることが 多かった。
報告者: 慶応義塾大学 大学院 理工学研究科
計算機科学専攻 所 研究室 博士課程
佐藤一郎 ( satoh@mt.cs.keio.ac.jp)